今日は少し、僕の個人的な「しくじり」の話をさせてください。 半分は近況報告、もう半分は自分への戒め、そして残りの半分は……いや、計算が合いませんね。とにかく、少しだけ情けなくて、でも自分にとっては切実な、とある「決意表明」についての独白です。
効率を捨ててロマンを追う。そんなことを言っている僕ですが、最近は自分の「体」という最も身近な道具についても、少しばかり無理をさせすぎていたようです。

12キロの鎧と、禁煙の副産物
振り返れば、昨年の10月がすべての始まりでした。 それまで不規則な生活を送り、タバコという嗜好品に頼り切っていた僕ですが、ある日突然、何かが弾けたのです。禁煙外来の門を叩き、その足で24時間営業のジムに入会しました。
そこからの変化は、自分でも驚くほど劇的でした。 週5回のハードなトレーニングを自分に課し、食事管理を徹底する。禁煙は(今のところ)成功し、かつては痩せ型だった僕の体は、この半年で12キロも増量しました。
鏡の中に映るのは、以前よりも少しだけ厚みを増した胸板と、筋肉という名の鎧を纏った自分。 「変われる」という実感は、毒のような万能感を僕に与えました。この勢いなら、どんな高い壁だって越えていける。そんな錯覚に陥っていたのかもしれません。
そして、2026年の目標として掲げたのが「フルマラソン完走」でした。
11月の約束、2万円の相棒
マラソンなんて、これまでの人生で一度も真剣に取り組んだことはありません。 調べてみると、春先にエントリーが始まり、多くの大会は抽選。そして年末にかけて本番を迎えるのが一般的な流れのようです。僕は運良く、11月に開催される大規模なフルマラソンの出走権を手にすることができました。
挑戦が決まれば、まずは形から。それが僕の流儀です。 2万円以上する最新鋭のランニングシューズを購入し、いっちょ前のウエアを揃えました。足を入れるたびに跳ね返るような感覚をくれるその靴は、僕をどこまでも連れて行ってくれるような気がしました。
「ゆっくりでもいい、長く走ろう」 そう自分に言い聞かせ、トレーニングを開始しました。新しいギアを使い、少しずつ走行距離を伸ばしていく過程は、新しい道具を馴染ませていくあの感覚に似ていて、最高に楽しかった。
けれど、事件はその直後に起きました。
15年前のイメージと、鵞足炎の宣告
その週末、僕は友人たちと15年ぶりにテニスをすることになりました。 かつてはコートを縦横無尽に駆け回っていた記憶があります。体は12キロ増え、筋力も以前より格段に上がっている。「今の自分なら、昔以上に動けるはずだ」という根拠のない自信がありました。
僕は、15年前のイメージそのままに、激しくコートを駆け、ボールを追いました。 楽しかった。確かにその時は、全盛期の自分に戻ったような爽快感があったのです。
しかし、異変は夜に訪れました。 両膝に、経験したことのない重苦しい痛みが走ったのです。
しばらく安静にしていれば治るだろう。そう高を括っていましたが、痛みは一向に引きません。不安に駆られて受診した結果、下された診断は「鵞足炎(がそくえん)」。膝の内側にある腱が炎症を起こしている状態でした。
「3、4週間はランニング禁止です」
医師の言葉が、冷たく響きました。 11月のフルマラソンに向けて、ここからギアを上げていこうという矢先の出来事。この1ヶ月という空白期間は、初心者ランナーである僕にとって、とてつもなく重い「沈黙」を意味します。
「昔の自分」という呪縛を捨てて
何が言いたいかというと、自分でも笑ってしまうほど当たり前のことです。 「体は、かつてのままではない」し、「物事には限度がある」ということ。
急激に体重を増やし、そこに急激に激しい運動を加えれば、関節が悲鳴を上げるのは自明の理でした。筋肉という鎧は手に入れても、その下にある骨や腱は、まだその重さと衝撃に耐える準備ができていなかったのです。
誰でも考えればわかるようなミスを、僕は「覚醒」という熱量の中で見落としていました。
フルマラソン当日までのカレンダーを眺めると、焦りばかりが募ります。 それでも、今は膝を休めることしかできません。状態は少しずつ良くなってきており、来週あたりからはジョギングを再開できる見込みです。
けれど、もう以前のような無茶はしません。 道具を丁寧にメンテナンスするように、自分の体の声を聞き、トレーニングの質とバランス、そして「今の自分」に合わせた調整を大事にしていこうと思います。
再び、走り出すために
この怪我という足踏みも、長い目で見れば「浪漫企画」の重要なエピソードになるはずだ。 今はそう信じて、アイシングとストレッチに勤しむ毎日です。膝が治癒し、再びあの2万円の相棒とアスファルトを踏めるようになった時、僕は少しだけ以前よりも謙虚なランナーになれている気がします。
この無謀な挑戦が、11月にどんな結末を迎えるのか。 またこの場所で、不格好な進捗を報告させてください。
効率よく走ることはできないかもしれませんが、僕なりの「ロマン」を抱えて、42.195キロの先にある景色を、この目で見に行こうと思います。


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