CAREER ep.3:きっかけは「もったいない」から。YouTubeを始めた本当の理由。

「いつか自分も、発信する側に回ってみたい」 そうぼんやりと考えている人は、案外多いのかもしれません。けれど、実際に「動画を公開する」というボタンをクリックできる人は、ほんの一握りです。

僕もかつては、ボタンの前で指を止めていた側の人間でした。 今回は、僕のYouTubeチャンネル「ロマンは矛盾だらけ」が産声を上げたときのお話。そして、そのきっかけとなった、ある一台のカメラとの出会いについて。

2025年2月、震える指先でクリックした「公開」

僕のチャンネルの最初の動画が世に出たのは、2025年の2月のことでした。 内容は、CIOという日本のメーカーの福袋を開封するという、今思えばとてもシンプルなガジェットレビューです。

けれど、当時の僕にとっては、それはエベレストに登頂するくらいのビッグプロジェクトでした。 撮影も、編集も、サムネイル作りも、人生で一度だってやったことがありません。真っさらな状態。右も左もわからず、手探りで繋ぎ合わせた動画を前に、僕はとてつもない不安に襲われていました。

「こんなつまらない動画を世に出していいのか?」 「誰かに叩かれたりしないだろうか?」

誰も見ていないのだから、叩かれるはずなんてない。頭ではわかっていても、心は勝手に「やめておくべき理由」を次から次へと生成し始めます。 「まだクオリティが低いから」「もっと勉強してからの方が……」

そんなブレーキを必死で踏み込みそうになる自分を、最後は「やっちまえ、出しちまえ」という少し乱暴な精神で突き動かしました。 当時、たくさんの本を読み漁っていた影響で「完璧を目指すより、まず終わらせろ」というマインドが少しずつ芽生え始めていたことが、僕の背中を押してくれたのだと思います。

一台のカメラが、景色を変えた

そもそも、なぜ動画を作ろうと思ったのか。 そのきっかけは、情熱的な志ではなく、もっと物理的で、モノ好きならではの理由でした。

2025年の4月、第一子が誕生することになっていました。 「子供が生まれたら、最高の画質でその瞬間を残してあげたい」 そう考えた僕は、誕生を目前に控えた1月に、一台のカメラを購入しました。

それが、Sonyの「ZV-E10 Ⅱ」です。

ガジェット好きの性分として、購入前にはスペックやバランスを徹底的に調べ尽くしました。写真も撮れるけれど、動画性能が非常に高く、入門機としても評価が高い。まさに僕にぴったりの一台でした。

手に入れた当初は、妊娠中の妻を撮ったりしていましたが、それだけではどうしても物足りなくなってしまったのです。

僕はガジェット好きです。 高機能な道具を手にすると、そのポテンシャルを100%引き出したい、もっとこいつを活用したいという好奇心が抑えられなくなります。 「このカメラなら、もっとすごいことができるはずだ」 「もっといろんなものを、このレンズ越しに捉えてみたい」

被写体を探していた僕の視線は、自然と自分の周りにある「大好きなモノたち」へと向かいました。 カメラを使いたい。ただそれだけの純粋な好奇心が、僕をYouTubeという大海原へと連れ出したのです。

「ロマン」という名の、終わりのないジャンル

YouTubeを始める際、あわよくば収益化したいという下心は、正直に言えばありました。 けれど、それが一筋縄ではいかないことも、情報の海で泳いでいれば嫌でも耳に入ってきます。

そこで僕は、あえてジャンルを厳密に絞り込まないという選択をしました。 YouTubeのアルゴリズムを考えれば、「iPhoneのレビュー専門」とか「キャンプギア専門」といった具合に、ニッチに絞り込む方が伸びやすいのは定説です。

でも、僕は苦しみながら継続したくはなかった。 どうせやるなら、自分の「好き」を楽しみながら、一歩ずつスキルを上げていきたい。

そこで掲げたのが「ロマン」という括りです。 革製品、ガジェット、文房具、時には生き方そのもの。僕が「これはロマンがあるな」と感じるものなら、すべてがネタになる。 ロマンのことなら、おそらく一生かかっても語り尽くせない。ネタ切れの心配がないからこそ、長く続けられる確信がありました。

「自分の思うロマンや美しさ、センスみたいなものを、誰かに共感してほしい」 そんな、ずっと心の底にあった小さな願望が、「ロマンは矛盾だらけ」というチャンネルの方向性を決定づけました。

始まりは、いつだって不格好でいい

今振り返れば、僕のYouTubeの始まりには大げさな準備なんて一つもありませんでした。 ただ、「モノを使い込みたい」という好奇心と、「この美しさを誰かに伝えたい」という、モノ好き特有の衝動だけ。

不器用で、画質設定も編集のカット割りもボロボロだったけれど、あの1本目を公開した瞬間の開放感は、今でも鮮明に覚えています。 道具を箱から出す瞬間の、あのワクワクを動画にする。 不便だけれど愛おしいモノたちの背景を、自分の声で語る。

楽しみながらではありますが、もちろん継続して動画を出し続けることは大変なことの連続です。 ネタを考え、光を調整し、深夜までパソコンの画面と向き合う。 その数々のハードルを、初心者の僕がどうやって乗り越えてきたのか。 それはまた次回の記事で、詳しくお話しできればと思います。

モノに対してもったいないという気持ちが、僕の人生の新しい扉を開けてくれました。 もし、あなたも手元に「もっと使ってあげたい相棒」がいるのなら。 それは、新しい自分に出会うための合図かもしれません。

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この記事を書いた人

ソウスケ / 浪漫企画 主宰

動画クリエイター。「ロマンは矛盾だらけ」YouTubeチャンネルにて、ガジェットやレザー、キャンプギアなど、実用性だけでは語れない“こだわり”を追求。

最新デバイスをアナログな鞄に詰め込むような、理屈を超えた「ロマン」の摩擦を愛する。この場所は、僕が選び抜いた道具たちの深い記録です。

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