LIFE ep.6 : 「謎の風邪」からの生還と、30代半ばの僕がフルマラソン練習でやらかした素人ゆえの暴走。

前回の記事では、体調管理を過信して無理を重ねた結果、見事に風邪をこじらせて寝込んでしまったという、なんとも情けないお話をさせていただきました。温かいコメントやご心配をいただき、本当にありがとうございました。

あの後、寝床でスマホを眺めていて知ったのですが、どうやら世間でも「熱は出ないのに、喉が猛烈に痛くて咳が全然治らない」という症状が流行っていたみたいですね。SNSやニュースでは「謎の風邪」というフレーズでかなり騒がれていて、「あぁ、僕を苦しめていた正体はこれだったのか」と妙に納得してしまいました。

本当に、今回の風邪はしつこくて辛かったです。喉にずっとカミソリの刃が当たっているような痛みが続き、夜も咳で目が覚めてしまう。健康という土台が崩れると、どんなお気に入りのガジェットも、楽しみにしていた趣味も、すべてが色褪せてしまうのだと身に染みて実感しました。

そんなタフすぎる「謎の風邪」から、ようやく100%完全に生還することができました。 朝起きて、喉が痛くない。深く息を吸っても咳が出ない。これだけで「人生、最高だな」と思えてしまうから不思議です。

体調が復活したとなれば、いよいよストップしていた「あの大きな挑戦」を再開するしかありません。そう、11月の本番に向けた、フルマラソンのトレーニングです。

しかし、体が動くようになった嬉しさのあまり、さっそく練習初日から、僕のめんどくさい弱点と素人らしさが大暴れすることになってしまいました。

残り半年、そして「空白の1ヶ月」という強烈な焦り

僕が挑戦を決めたフルマラソンの本番は、今年の11月。 残された準備期間は、あと約半年です。

「半年もあるなら、ゼロからでもなんとかなるんじゃない?」と思われるかもしれません。僕も挑戦を決めた当初は、どこか心の奥でそんな風に甘く考えていた部分がありました。

ですが、ランニングの専門書を読んだり、実際に完走した先輩ランナーたちのブログを読み漁ったりしていくうちに、その認識は一瞬で打ち砕かれました。初心者が42.195キロという未知の距離を、制限時間内に怪我なく走りきるというのは、想像を絶するほど厳しい世界なのだそうです。人間の肉体が受ける衝撃や、消費するエネルギーの量は、僕たちの日常の延長線上にはない規格外のレベルなんです。

それなのに、です。 僕は風邪で寝込む少し前に、ハッスルしすぎて「膝の故障」をやらかしていました。 そこに今回の長引いた「謎の風邪」が追い打ちをかけた結果、トータルで約1ヶ月間もの貴重な練習期間を、文字通り何もできずに失ってしまったわけです。

正直に言います。めちゃくちゃ焦っています。

周りのランナーが一歩一歩着実にステップアップし、走れる距離を伸ばしているこの時期に、自分だけがスタートラインの手前で寝込んで後退していたような感覚。この「ただでさえ初心者なのに、1ヶ月も出遅れてしまった」という強烈な焦りが、再開したばかりのトレーニングを歪ませてしまいました。

「30分間走」で見えてきた、致命的な弱点

体調が戻った最初の練習日、僕は新調したランニングシューズの紐を丁寧に締めました。 現在取り組んでいるのは、基礎体力をつけるための最初の壁である「まずは30分間、一度も止まらずに走り続ける」という地味なトレーニングです。

走り出してみると、久しぶりに浴びる風が心地よくて、体も驚くほど軽くて、「あ、意外と動けるじゃん!」と一気に気分が上がっていきました。ブランクなんて関係ない、これならいくらでも走れそうだ。そんな万能感に包まれながら、足を一度も止めることなく、無事に30分間を走りきることができました。

「よし、思ったより走れたぞ。やっぱり走るのは気持ちいいな」

大満足で帰宅し、お気に入りのデスクで一息つきながら、スマートウォッチに記録されたランニングアプリのデータを確認しました。すると、そこに表示されていた走行データを見て、僕は一瞬で我に返り、苦笑するしかありませんでした。

走っているスピードが、初心者にとっては「明らかに早すぎる」んです。

一見すると、久しぶりのランニングで速く走れたというのは、体力がついている証拠のようで良いことに思えますよね。でも、長距離を走るマラソンにおいて、これはただの「配分ミス」であり、「素人の危うい暴走」でしかありません。焦る気持ちに任せて、最初の数キロで体力の貯金を一気に切り崩してしまっているだけだったんです。

僕はもう、30代半ば。20代の頃のように、勢いと気合いだけでノートレーニングの肉体を振り回せる年齢ではありません。

実際、そのオーバーペースのツケはすぐに回ってきました。走り終わってシャワーを浴びている頃には、足のあちこちがジンジンと嫌な痛み方をし始めていたんです。現に、前回の膝の怪我も、こうやって自分の限界を超えたスピードで気持ちよく走り続けたことが原因でした。

スピードの調整が下手というのは、マラソンにおいては本当に致命的な弱点です。 最初にかっこつけて周りのペースに流されたり、遅れを取り戻そうと無理な速度で突っ走れば、後半に確実に力尽きて歩くことになります。それだけならまだしも、僕のような初心者の場合は、肉体が受ける着地衝撃がとんでもないレベルで跳ね上がり、一発で「大きな怪我」へと直結してしまうんです。

ロマンを支えるのは、退屈な「我慢」かもしれない

今回の故障と風邪のコンボ、そして再開初日の空回りを経て、痛いほど理解した教訓があります。 それは、フルマラソンの練習において最も価値があるのは「1回の派手な激走」ではなく、「怪我や病気をせず、練習を1日も止めないこと」だということです。

どんなに素晴らしいハイペースで30分走れたとしても、そのせいで膝を痛めて次の2週間走れなくなったら、トータルの練習効果は大きなマイナスになります。焦って無理なスピードで自爆するくらいなら、周りのランナーにどんどん追い抜かれ、歩いているのかと見紛うほどのスローペースであっても、怪我なく笑顔で帰宅して、翌々日にまた元気に走り出せるほうが、100倍マシなんです。

「ロマンを追いかけるためには、多少の我慢が必要だ」

奇しくも、お気に入りの不便なデイパックについて語った前回のGEARの記事で、そんなことをドヤ顔で書いたばかりでした。まさか、自分のランニングの現場でも、全く同じ言葉がブーメランのように自分に突き刺さるとは思いませんでした。

今、僕に本当に必要なのは、もっと速く走るための筋力でも、最新のランニングギアでもありません。「もっと速く走りたい」「遅れを取り戻したい」と内側から急かしてくる焦りや見栄をグッと抑え込んで、あえて退屈なほどゆっくり走るための、「我慢(セルフコントロール)」の力なのだと思います。

7月に向けた、徹底的な「安全第一」リスタート計画

というわけで、自分のスピード調整のヘタさを素直に認め、ここからのトレーニングプランを、現実的で持続可能なものに大きく修正することにしました。

新しい作戦のテーマは、プライドを捨てた徹底的な「安全第一」です。

具体的には、走るスピードを「息が全く上がらず、誰かと世間話をしながらでも走り続けられるレベル」のジョグ(ゆっくり走り)に固定します。スピードを上げることは一切考えません。ランニング中のスマートウォッチのペース表示は見ず、自分の呼吸の静かさと、足の裏が地面を捉える優しい感覚だけに集中します。

走る頻度は、毎日は絶対に無理をせず、「週の半分程度(週3〜4日)」を目安に設定しました。1日走ったら、次の日は必ず肉体を休める日、もしくは軽いストレッチをする日にして、30代半ばの肉体に超回復の時間をしっかりと与えます。

そうやって「ゆっくり、怪我なく走る習慣」を体に染み込ませながら、少しずつ走る時間を35分、40分と5分ずつ延長していく。 直近の具体的なゴールとしては、「7月までに、週に1回だけ、1時間しっかり止まらずに走り続けられる日を作る」というのを現在の目標に据えました。

11月の本番から逆算すると、一見のんびりとした、遠回りのようなプランに見えるかもしれません。でも、今の僕に必要なのは、1回の派手なロングランではなく、怪我をせずに7月、8月、9月へと練習のバトンを確実に繋いでいくための「打たれ強さ」です。

AIと作る、僕だけのパーソナルメニュー

自分の感覚だけで走ると、どうしても「あ、今日は天気が良くて気持ちいいから、ちょっとスピードを上げちゃおう!」と、また同じ過ちを繰り返してしまいそうです。自分の内なる矛盾や焦りを、自分ひとりの意志の力だけでコントロールするのは、なかなかに骨が折れます。

そこで今回は、僕の強力な相棒であるAIに、現在の僕の年齢、体重、過去の怪我の履歴、そして11月の目標をすべて打ち込み、客観的で無理のないトレーニングメニューを一緒に相談しながら組み立ててもらいました。

AIは僕のように「焦り」や「見栄」でペースを乱したりしません。感情を挟まず、常に冷静に、データに基づいて「ソウスケさん、今の走行強度は高すぎます。もっと落としてください」と、軌道修正のシグナルを出してくれます。この頼れるデジタルな伴走者のアドバイスを道標にしながら、本番までの残りの日々を淡々と走っていく予定です。

42.195キロの先にある、まだ見ぬ景色を見るために。 11月の本番当日、スタートラインに立った自分が「やるべきことは全部やった」と笑っていられるように。

まずは今週の「週の半分のジョグ」から、自分の内なる焦りを出せる限りのスローペースでなだめながら、一歩一歩、でも確実に進んでいこうと思います。

フルマラソンへの挑戦の軌跡、これからも格好悪い試行錯誤や失敗談が続くと思いますが、この秘密基地でそのプロセスも含めて共有していきますので、緩やかにお付き合いいただけたら嬉しいです。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

ソウスケ / 浪漫企画 主宰

動画クリエイター。「ロマンは矛盾だらけ」YouTubeチャンネルにて、ガジェットやレザー、キャンプギアなど、実用性だけでは語れない“こだわり”を追求。

最新デバイスをアナログな鞄に詰め込むような、理屈を超えた「ロマン」の摩擦を愛する。この場所は、僕が選び抜いた道具たちの深い記録です。

コメント

コメントする

目次