突然ですが、皆さんは普段、どんなバックパックを使っていますか?
最近のガジェット界隈やビジネスシーンを見ていると、ある「ひとつの正解」ができあがっている気がします。全体が真っ黒なタフナイロンで、中を開けると小物を仕分けるポケットがこれでもかと並んでいて、外にはUSBポートまで付いている。いわゆる「至れり尽くせりの多機能リュック」です。
たしかに、あれはめちゃくちゃ便利です。どこに何を入れるかがシステム的に決まっていて、背負っていてもまったく疲れない。僕もそういう合理的なモノ作りのすごさはよく分かります。もし妻に「普段使いにいいリュックない?」と聞かれたら、迷わずそういう機能性の高いアイテムを勧めます。
でも、「自分が心の底からワクワクして、毎日背負いたいか」と言われると、不思議と僕のアンテナはピクリとも反応しないんです。
そんな僕が最近手に入れて、「これだよ、これ」と心の中で小さくガッツポーズしたのが、今回紹介する「OUTDOOR PRODUCTS × RAMIDUS(ラミダス)のDAY PACK」です。
一見すると、誰もが学生時代に一度は見たことがあるような、ごく普通のクラシックな丸型デイパック。でもその内側や細かいところには、今の暮らしに欠かせない工夫が、とても上品に仕込まれていました。
今回は、このカバンの「歴史と今のギャップ」、そしてモノを好きになるときにどうしても避けられない「ロマンと我慢」について、少し熱く語らせてください。

- 70年代から変わらない名作「452U」のこと
- 写真で見る、グッときたディテール
- ロマンと引き換えの、多少の我慢
70年代から変わらない名作「452U」
このデイパックのベースは、アウトドアプロダクツ(OUTDOOR PRODUCTS)が1970年代に出した「452U」というモデルです。世界中のデイパックの基本形、「原点」とも言われる形そのものです。
驚くのは、この別注モデルが、半世紀以上前の基本設計やサイズ、外観の形を「一切崩さずにそのまま残している」ことです。
今っぽいスマートな形に変えるのではなく、あえてあの「ちょっと無骨で、ぽってりしたアメリカンクラシックなシルエット」を100%受け継いでいる。この歴史を感じられる見た目が、僕にはたまらなく愛おしいポイントなんです。
けれど、ただの復刻版(レトロ)で終わらないのが、東京発のバッグブランド「RAMIDUS」のニクいところです。
外見のノスタルジックな雰囲気はそのままで、中を見ると、今のライフスタイルにぴったり合わせた機能が追加されています。内装には、厚めの緩衝材付きのLAPTOP収納ポケット(13インチのMacBookがすんなり入ります)とドキュメントポケット。さらにカバンのサイドには、背負ったまま指先でスマホをサッと出し入れできるモバイルフォンポケットが、目立たないようにすっきり付いています。
正面のジッパーポケットを開けると、キーフックとスロットポケットが2つ。クラシックな外見の中に、今どきのガジェット向けの工夫がぎっしり詰まっている。この「見た目と機能のギャップ」に、僕は一瞬でやられてしまいました。



写真で見る、僕がグッときたディテール
このカバンの面白さは、実際に触って、近くで見るとさらによく分かります。
まず、個人的にたまらないのが、正面左下の「ブランドタグ」の並びです(写真参照)。おなじみの、あのカジュアルな「OUTDOOR」の白いロゴマーク。そのすぐ下に、少し小さく上品に「RAMIDUS TOKYO」のネームタグが付いています。大御所と今のクリエイターが握手しているようなこのタグの配置を見るだけで、モノ好きとしてはご飯が3杯いけそうです(笑)。
そして、この別注仕様をいちばん象徴しているのが「ジッパー」です。
ふつうの452Uなら、むき出しの金属ジッパーや、カジュアルなプラスチックジッパーが定番です。でもこのRAMIDUS別注では、メインの開口部からサイドポケットまで、マットな質感の「止水ジッパー」が使われています。
アースカラー(オリーブやマスタードっぽさもある絶妙なカーキ)のタフな高密度ナイロン生地に、ベージュ系のジッパープル。そこに、どこかモードで引き締まった黒い止水ジッパーのライン。このジッパーのおかげで、カバン全体から子どもっぽさが完全に消えています。「大人があえてハズしで背負う、上品なカジュアルバッグ」という雰囲気があるんですよね。
ストラップも、昔のペラペラなまっすぐの形ではありません。体に沿うようにきれいにカーブした、厚みのあるつくりです。重いMacBookを持ち歩いても肩に負担がかからず、吸い付くような快適な背負い心地。このあたりも抜かりがありません。

「ロマン」には、多少の我慢が必要なのかもしれない
さて、ここまでこのデイパックの魅力を並べてきましたが、ここでひとつ正直に告白させてください。
「じゃあ、このカバンは、最新の多機能ビジネスリュックよりも使い勝手がいいですか?」
そう聞かれたら、僕は首を横に振るしかありません。答えはNOです。正直、便利さだけで言えば、ほかの今どきの選択肢のほうがずっと優秀です。
ポケットの数は最小限で、荷物をたくさん詰めると中でモノが迷子になりやすい。僕が大好きなPORTER(ポーター)のタンカーシリーズも同じですが、昔ながらのナイロンバッグは、今の超機能的なバッグに比べたら、お世辞にも「至れり尽くせりで使いやすい」とは言えないのが現実です。
ファッションの世界ではよく「おしゃれは我慢だ」なんて言いますよね。寒さをこらえて薄着をしたり、歩きにくくてもかっこいいブーツを履いたり。モノ選びの「ロマン」も、それとすごく似ている気がしています。ロマンを通すには、ちょっとした不便さや手間といった「我慢」がセットなんじゃないか、と。
中身が完全にシステム化された黒いリュックなら、忘れ物もしないし、荷物もすぐ取り出せます。でも、その合理的な快適さと引き換えに、何か大切な「手応え」みたいなものを手放している気がして、どこか寂しさを感じてしまうんです。
あえて、ちょっと不便な丸型のバッグを選ぶ。どこに何を入れるか、自分の頭で工夫しながら荷物を詰めていく。その少しの手間をかける時間が、僕にとっては日常の中に「自分だけの秘密基地」を作るような、楽しい儀式になっています。
まとめ:完璧じゃないからこそ、愛着がわく
もちろん、これは完全に好みの世界です。僕も時期によっては「やっぱりガチガチに便利なミニマル装備がいい!」と、逆側に振れることもあります(笑)。便利なモノの良さも、不便なモノの愛おしさも、どちらも本物です。
ただ、なんでも最短ルートで最適解が手に入る2026年の今だからこそ、自分の背中くらいは、こういう「歴史を感じられる、ちょっと矛盾を抱えた道具」に任せておきたいなと思うんです。
OUTDOORの定番の形に、RAMIDUSの今っぽい気づかいが合わさったこのデイパック。僕のめんどくさいこだわりを、いちばん静かに、スマートに肯定してくれる最高の相棒です。
たまには「便利さ」という物差しをいったん引き出しにしまって、自分だけの「ちょっと我慢してでも使いたいロマン」を探してみるのも楽しいですよ。不便さの先にある手応えは、思った以上に心地いいものです。



