こんにちは、ソウスケです。
私は、道具が好きです。 けれど、もっと好きなのは、「道具を自分の色に染めること」かもしれません。 どんなに優れた既製品も、私の手元に来た瞬間から、私の一部としての物語を始めなければならない。それが、私の「道具への愛」の形です。
今日ご紹介するのは、あまりにも普遍的で、あまりにも「無」な、あるポーチの物語。 それが、無印良品の「ナイロンコンパクトポーチ(黒)」です。
無印良品という「空白」
無印良品。その名の通り、「印のない、優れた品」。 彼らのプロダクトは、徹底的に「無」であることを追求しています。色、形、主張。それらを極限まで削ぎ落とし、どんな人の、どんな生活にも溶け込むことを良しとする。
私が今回手に入れた「ナイロンコンパクトポーチ(黒)」も、まさにその体現です。 ナイロン製。横長のシンプルなフォルム。ファスナーが一つ。以上。 商品ページを眺めても、そこに書かれているのは「持ち運びやすいコンパクトなサイズ」といった、極めて実用的で乾燥した言葉だけ。
だが、私にとって、この「無」は、「空白」に見えたのです。 この真っ黒な、何の特徴もないナイロンの表面は、私に「ここにお前の物語を描け」と誘っているようでした。
「自分色」を縫い付ける儀式
私は、このポーチを手に取った瞬間から、それをどう「汚す」か、どう「浪漫」を注入するかを考えていました。
私は、裁縫が趣味、というわけではありません。 けれど、この「自分色に染める」という儀式において、針と糸は、ペンやカメラと同じくらい重要なツールになります。
私が選んだのは、二つの刺繍パッチ。
まず、表面。 それは、「CALIFORNIA REPUBLIC」の文字と、一頭の熊、そして星。かつてのカリフォルニア共和国の旗、そして現在のカリフォルニア州旗のデザインです。 なぜこれを選んだのか。それは、この旗が持つ「独立、勇気、そしてフロンティア・スピリット」という物語に、私自身の「浪漫企画」のイズムを重ね合わせたからです。この渋いベージュのパッチを、真っ黒なナイロンに縫い付けた瞬間、このポーチは「無印」の呪縛から解き放たれました。
そして、裏面。 こちらには、少しユーモアを。「ブルドッグの顔」の刺繍パッチです。 不機嫌そうな、けれどどこか愛らしいブルドッグ。(私の愛犬はフレンチブルドッグです。)この矛盾こそが、ロマンそのもの。この二つのパッチを縫い付ける。それは、単なる「デコレーション」ではありません。私の思想を、道具に物理的に定着させる、一つの儀式でした。


宿命の相棒、Camp Snap
このポーチをカスタムした最大の理由。 それは、私のもう一つの「矛盾」、Camp Snapを収納するためでした。
以前も紹介しましたが、Camp Snapは「液晶がないデジタルカメラ」です。 「デジタルなのに、撮ったその場では見られない」という矛盾した不自由さを楽しむためのカメラ。このカメラ自体が、すでに強い浪漫を持っています。
このカスタムポーチとCamp Snap。 並べてみると、どうでしょうか。
渋いグリーンにレザー調の質感を持つCamp Snapと、真っ黒なナイロンにカリフォルニアの熊が走るポーチ。この二つが合わさった時、単なる「カメラとケース」を超えた、一つの「世界観」が完成します。 まるで、最初からこうなることが運命づけられていたかのような、必然的な調和。私はこの光景を眺めるだけで、数分間、コーヒーが冷めるのを忘れてしまいました。

矛盾を収納する、という贅沢
実際に、Camp Snapをカスタムポーチに収納してみます。

「コンパクトポーチ」という名の通り、そのサイズ感はCamp Snapのために作られたのではないか、と錯覚するほど完璧です。 ファスナーを開き、カメラを滑り込ませる。 その瞬間の、スルリとした、けれどカチッとした、確かな収まり心地。 ナイロン素材のクッション性が、液晶がないという最大の「不自由」を、物理的な衝撃から優しく守ってくれる。この「不便」を「守る」という行為自体が、また一つの矛盾であり、贅沢なロマンです。
汎用性の高さ:矛盾の入れ物として
このポーチ、Camp Snapのためだけにカスタムしたわけではありません。その汎用性は非常に高い。 カメラを使わない日や、手元にカメラがある時は、この「自分色」のポーチは、他の「ロマンの断片」を運ぶ入れ物になります。
例えば、予備のバッテリー、USB Type-Cケーブル、小さなメモ帳、そして真鍮のペン。 私の日々の生活を支える、けれど誰からも理解されないかもしれない小さなこだわりの道具たち。 それらをこのポーチに詰め込み、バッグに忍ばせる。 バッグを開けるたび、この「CALIFORNIA REPUBLIC」の熊と、「ブルドッグ」の目が合う。それだけで、私は自分の「浪漫」を見失わずにいられるのです。
結論。道具は、あなたの物語を語らなければならない。
価格にして、ポーチが約600円、パッチが数百円、そして私の針仕事の時間。 金額にすれば、たかが知れています。
けれど、この「自分色」に染めた無印良品のナイロンコンパクトポーチは、私にとって、数万円のブランド品のポーチよりも、はるかに価値があります。なぜなら、これは「私の物語」を語っているからです。
無印良品の哲学は「これでいい」です。 けれど、私の哲学は「これがいい」です。 この二つの哲学が、私の手によって一つのポーチの中で衝突し、和解した。その矛盾こそが、この道具の最大の魅力であり、私が愛してやまない「浪漫」です。
便利すぎる世の中で、あえて不便なカメラを愛でる。 そのカメラを、あえて手間で染めたポーチで守る。 矛盾だらけの、けれど最高に楽しい私の人生。 この「自分色」のポーチが、これからも私の矛盾した旅の、最高の相棒であり続けてくれることを、私は確信しています。
それでは、また次の記事で。


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